届かないこの想いを、胸に秘めて。





「えー、今日は前期最後の委員会だから、振り返りと後期に向けて一言言って解散にする」


寺司先生がそう告げて、廊下側の一番前に座っている女の子を呼んだ。




……なんで、こういう時に委員会なんだろう。

私は、なんでここにいるんだろう……。


黒板に〝振り返り〟と書かれてある達筆な文字をボーッと見つめながらそんなことを思った。




タイミング悪すぎでしょ。
て、私の行動力の無さが一番の原因なんだけど。


小さく息を吐いた。


それとほぼ同時に、後ろから大きな声とともにドアが開かれた。



小さく胸が高まった。

そしてキミが近づいてくるにつれて、鼓動は増していく。



すとん、と私の目の前に座ったキミ。

鴇田くんとサナくんがまたキミをいじりだして、少し乱暴な口調で「バーカ」と言った。



かわいいって何度も思う。
その笑顔を見て、『好き』って何度も思った。



やっぱりまだ、好きなんだ私……。




『両方大事にしなよ』
そう言った和海ちゃんの言葉を思い出した。



……私には、難しい気がするよ。


キミの笑った横顔を盗み見して思った。








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