届かないこの想いを、胸に秘めて。





──遡ること1年前。


入学した2日後に私は彼に出会って、恋をした。


その出会い方は……とても最悪でとても恥ずかしかった。



珍しく寝坊をした私は、お母さんにお願いして車で送ってもらった。


学校に着くとHRが始まるまであと5分と知って、私は教室まで猛ダッシュした。


本当は昇降口から入らないといけないのだけれど、今回は近道を選んだ。


職員玄関へ向かう途中に、事は起こったの。



見事大胆に転んでしまったんだ。



とても痛かった。

顔は無事だったけど、手のひらと膝が擦りむけてそこから鮮やかな赤が滲み出ていた。








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