届かないこの想いを、胸に秘めて。





──ピシャ。


ドアを閉めた。

静かな教室に少しの緊張が走る。



あのまま先生の言葉を無視して、香奈恵ちゃんに連れてこられた。


そして、気付く。ここは亀裂ができたあの日と同じ場所だということを。



暗いけど、明るかった。夏の日差しが照らしているから。




私は背を向けている香奈恵ちゃんに呼びかけた。


無言でいるけど、少し肩が震えたように見えた。









< 120 / 306 >

この作品をシェア

pagetop