届かないこの想いを、胸に秘めて。
「……私、香奈恵ちゃんに嫉妬してたの」
静かな教室に私の小さな声が大きく響いた。
天井から椅子を引く耳障りな音も大きく響いた。
『嫉妬』
それは私たちに亀裂が走った原因の一つ。
偶然キミが香奈恵ちゃんに伝えた言葉を聞いてから、そのだんだんと黒く染まった塊。
私がいけないのに。
それが肥大して、私は香奈恵ちゃんにっ。
「ごめんね。私の勝手な感情で、香奈恵ちゃんを傷つけて」
ごめんなさい、と背中に向かって深く頭を下げた。
もしかしたら、もう本当に終わってしまうかもしれない。
もう親友にも、友達にも、戻れなくなってしまうかもしれない。
……でもそうしたのは、私だ。
たとえ、どんな結果が待ち受けようとしても、私はすべてを受け入れる覚悟は、出来てる。
でも……っ。それでも。
やっぱり香奈恵ちゃんとは、かけがえのない友達でいたい、よ。親友でい続けたいっ。
……ごめんね。わがままで。
香奈恵ちゃんを手放したくないって勝手に思ってる。
「……せつな」
久しぶりに呼ばれた名前に、香奈恵ちゃんの背中が、私の視界がぼやけはじめた。