届かないこの想いを、胸に秘めて。





「なにしてるの」

その声に心臓が止まった。



聞こえてくるはずのない、でも聞き覚えのある声。
とても柔らかい声だった。



私に乗っかてた圧力が瞬時に解き離れた。



それなのに身動きができない。
身軽になったはずなのに、全ての機能が停止してしまったみたいに。

だけど、一つだけ激しく運転してる。


自分の中で響いてる。大きく。




私の隣で香奈恵ちゃんと和海ちゃんの声がする。

それと、キミの声も。




どうしてだろう。顔があげられない。こんなチャンス滅多にないのに。

キミを近くで感じることのできるチャンスなのに。




顔が、体が、動かない。








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