届かないこの想いを、胸に秘めて。





「……な。…………つな」



なんで。どうして。

そんな言葉がぐるぐる巡ってる。

なんで、ここに?

どうして……?




「おい!せつな!」


ぐらっと視界が揺れて我に返る。

とっさにそちらを振り向くと、香奈恵ちゃんと視線が合った。

その目はなんか光ってるように見えたけど、今の私にはそんな余裕がなくて。




少し視線をずらすと、何かがとんでもない動きをして今にも口から飛び出てきそうになった。


キミが、私をみて、ふわっと笑うから。


思わず、視線を逸してしまった。


不審がられたかな。
でも、そうしないとダメな気がしたから。

私の顔、きっととんでもない事になってそう……。







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