届かないこの想いを、胸に秘めて。





いつまでも下を向いてばかりだとキミに不審がられるから、なんとか頑張って香奈恵ちゃんと話してるキミをみた。


キミが目線をそらす度に目が合ったような気がした。



ドキッとしたけど、平然を装った。


たぶんキミには私が映っていないと思うから。


こんな近くにいても、この高鳴りは伝わらない。





「あ、もうすぐHR始まるよ」


和海ちゃんの声と同時に予鈴が鳴った。

そして、キミは小さな焦り声を呟いた。




「じゃあまた話聞かせて」

「おー。いいよー」

「じゃ!」



そんなやりとりを耳にして、キミに視線を向けた。





──っ!



パチリと目が合った。
今度はしっかり。


それは一瞬で、キミは行ってしまった。




……ちょっと、まってよ。
こんなの、だめじゃん。こんなの、ずるいよ……。


心臓が壊れそう。


だって、キミが……また笑ったから。










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