届かないこの想いを、胸に秘めて。




「せっちゃん、よかったね!」

席へ戻ろうとした和海ちゃんがにこやかに言った。


続けて香奈恵ちゃんも。



「せつな〜、いつまで顔赤くしてんの」

そう言ってほっぺを突っついてきた。




「ちょ、やめてよ」

「なーに、恥ずかしがってんだよ」

「別に、恥ずかしがってなんか……」


ふたりして私をからかうなんて、ひどいよ。


こっちの身にもなってほしい。

どんだけ心臓が壊れそうになったか。どんな顔をしていたかも分からなくて、恥ずかしかしく思ってたのに。



「でもさ中村、結構アリだと思うんだよね」

「えっ!?」


香奈恵ちゃんの言葉にふたりの声が重なった。

それは……どういう、こと?




「中村が、雪菜に脈アリってこ、」

「ない!それは絶対に、ない!」


最後まで聞かずに全力で遮った。


中村くんが、脈アリ?
……私に?


それは絶対にありえないよ。

たとえ、天と地がひっくり返ったとしても絶対に有り得ないよ。



香奈恵ちゃん、何言ってるの?








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