届かないこの想いを、胸に秘めて。
『待って』
『あ、あのっ』
『保健室行こ?』
『えっ』
戸惑う私に構わず、彼はその手を離さないで保健室へ足を運んだ。
掴まれた手首と彼の背中を交互にみて、この状況に戸惑った。
もうとっくにHR始まってるのに。
遅刻させちゃった……。
彼に罪悪感が積もりに積もった時、顔に衝撃を受けた。
『ウッ』
へんな声が出てとっさに口をつぐんだ。
彼はそんな様子に目もくれず、保健室を見渡す。
『んー、先生いないね。ちょっと待ってて』
先生呼んでくる、と言ってドアに向き直り行ってしまった。
ぽつんと1人でそこに立ち、だんだんと蘇ってくるさっきの出来事。
『穴があったら入りたいレベルだよ……っ』
小さく呟いて近くにあった丸椅子に腰をかけた。