届かないこの想いを、胸に秘めて。
想いの違い





9月の終盤を迎えた私たちの高校は、大きなイベント、文化祭が2日続けて行われた。



私たちのクラスは喫茶店を催し、
女の子はメイド服で、男の子は執事になって開店させた。



中でも一番目立っていたのは、言うまでもない。





『なんで私だけ執事なんだよ!』

と叫んだ香奈恵ちゃんにみんなは笑って拍手をしていたっけ。


正直に褒めると諦めた様子で『ありがと』と言った。

ほんのり頬を色づかせた彼女はとても綺麗で可愛くみえた。




順調に盛り上がってきたところにキミが訪れたときは、ビックリして手に持っていたグラスを落としそうになった。

隣にはサナくんがいて、仲良しなんだなって思った。



何故か私が注文を受け持つことになってしまって。
さらに『かわいいね』とまで言われてしまい……。



本心じゃないけど、もうこの世が終わってもいいと思った。



少し話すことも出来た。

シフトが終わったあとにキミのクラスへ行くと約束までして、

それを香奈恵ちゃんと和海ちゃんに伝えると、ニヤニヤして私をいじくり回した。



焼きそばを作ってる姿に見とれて、うまく味わうことができなくて、その日が終わってもなかなか思い出せなかった。




それは今でも。








< 144 / 306 >

この作品をシェア

pagetop