届かないこの想いを、胸に秘めて。





「うりゃー!」

「っ!?」


上機嫌な声とともに私に寄りかかってきた隣の人物をみた。


びっくりした。



和海ちゃんと目が合って笑ったから私も同じようにした。




「私じゃない、から、ね!」


和海ちゃんが途切れ途切れに声を弾ませる。

そしてその隣にいる香奈恵ちゃんが原因だってことに気づく。




「雪菜、楽しくなさそうだったから」

「ちゃんと楽しんでるよ!」



ちょっとムキになってしまった。

今のは失礼だったかなと思ったけど、2人の表情をみて大丈夫だと思った。




「雪菜がそんな顔してると楽しくないよ?」

「……そんなことないでしょ」



そう言ったのは香奈恵ちゃんの表情と行動に。


だってお菓子片手にニコニコしてるんだよ!?
言ってることとやってることが合ってないよ!


私は香奈恵ちゃんを白い目でみてから、窓の外をみた。

白い雲が目の前にあった。





「もー」

和海ちゃんが間で私たちを交互に見る。



「……ごめんね、心配かけて。ちゃんと楽しんでるから大丈夫だよ」


2人の顔をみてそう言う。
大部分は和海ちゃんに向けて言ったのだけれど。

ふたりして笑ったから、どうでもよくなった。




「でもさ、……アレでしょ?」


私たちだけに聞こえる大きさでそう言った香奈恵ちゃん。

その言葉は確かにアレを言っているんだと悟った。


和海ちゃんも分かった様子で、香奈恵ちゃんを見てから私に目を移した。



とても不安そうな目。でも『負けるな』って伝えてるようにも思えた。







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