届かないこの想いを、胸に秘めて。




──遡ること11月の頭。


それはテストが終わって落ち着いた頃。
それでもグループの調べ物は相変わらず忙しかった頃。



私の心がだんだんと黒くまた渦をまき始めた。



先週の月曜日の朝のこと。
私たちの学年に転入生が来たと、生徒から生徒へ、そして私たちの耳に伝わった。


女の子ってことと、私たちのクラスではないということを人伝で知った。


朝のHRが終わると情報通な人は一斉にその教室へ向かって行った。


私たちは『そのうち見れるでしょ』って軽く思って行かなかった。



教室に戻ってきたみんなは口々に興奮を含めた声をあげてるから、相当可愛い子なんだなと思った。


男の子なんて動悸が激しくて、胸を抑えてる様子をしたクラスメイトを何人かみて、『ばかだね』って3人で小さく笑いあった。




でも、そう微笑ましく思ったのは束の間だったんだ──。










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