届かないこの想いを、胸に秘めて。





転入生が来てから2日目のこと。


その日は委員会があった。
自然に胸が高まっていった。


あの時はっきり想いの違いに気がついた日を境に、私はキミの姿を見る度に、優しく、ときには痛いくらいに鼓動を速めさせる。



キミと目が合うと優しく笑ってくれた。

それは気のせいかもしれない。

それでも嬉しかったことには代わりなくて。





席に着くと目の前にいるはずのキミは居なかったから、また遅刻かなと思った。



委員会が始まった頃にやっぱり遅刻してきたキミは、スタスタっと自分の席に着く。

ふわりと柔軟剤の香りが私の鼻をくすぐって、キミが近くにいると実感した。





私とキミはちょっとずつ関係に変化を築いた。



それは挨拶をすること。


委員会だけじゃなく、廊下ですれ違う時や下駄箱で履き替えている時にも。



キミと会ったらまずは挨拶を交わすようになった。








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