届かないこの想いを、胸に秘めて。




朝起きても心は晴れなくて、そのまま学校へ。



なんだか学校が違う場所に感じた。


だってキミの隣には彼女がいたから。

いつも私に向けてくれたその笑顔は、いまは彼女に向けてる。


別にキミは私のものでも何にでもないのに、それでも嫉妬してしまった。



廊下ですれ違う時も帰る時も、彼女はキミと一緒にいて、心がかき乱された。




なんで、いるの?
私は近寄りたくてもダメなのに。なんで……?




そう思い始めたとき、和海ちゃんから伝われたキミといる彼女のことを。




桃田紗姫(モモタサキ)ちゃん。

身長は私より少し低くて、とても可愛い女の子とだけ伝わった。

そしてなぜキミの近くにいつもいる理由が、分かった。




キミと彼女は『幼なじみ』ということ。


それを聞くと安心した。

キミにとって特別な人じゃないと。



でもそれは束の間で、和海ちゃんが言葉を続けた。とても言いたくなさそうな表情をしていた。










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