届かないこの想いを、胸に秘めて。





もうすっかり日は暮れて、無事宿泊先へ着くことができた。


夕食はとても豪華でとても美味しかった。

家族とはまた別の、温かく感じた夕食。
だからより楽しくて美味しく感じたのかもしれない。



だけど、キミの姿をみるととても苦しくなった。
隣には、桃田さんがいたから。


とても楽しそうで、とても羨ましく思った。


気にしないようにしてたけど、自分の座った位置からだとハッキリと見えてしまう。
2人の笑ってる姿が。



……私はこれからどうすればいいのかな。



桃田さんはあの時ハッキリと目を見て言った。


『あたし、淳介のことが好きなの』


って。


それを伝えるためにわざわざ会いに来た桃田さん。


そして『諦めてほしい』と。



私が中村くんを好きだと言った覚えはないのに。




その場にいた2人は私をかばうように、桃田さんになにかを言っていて。



もうその時には別世界にいた。
自分だけの心の世界。


目が回るような様々な色をした渦が、私を閉じ込めていた。





一体どうすれば、諦められるの?


そればかり考え落ちてしまっていたあの日は、結局答えは見つからないまま終わってしまったんだ。










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