届かないこの想いを、胸に秘めて。




「通田、おまえ……」

「ほらなんか光るもの見えてる」


引きつった顔の鴇田くんに、通田くんがかまわず向こうで探ってる人を指さす。


通田くんが言った『光るもの』とは、多分ネックレスだと思うんだけど……?


鴇田くんはそれを間に受けたらしく更に顔を引きつらせていた。





「あ、あったあった!」


明るく発した香奈恵ちゃんに鴇田くんは身震いをさせる。


その様子がおかしくて心で笑った。

だって、香奈恵ちゃんの手に持ってるのは、決して鴇田くんをシメるようなものではないと分かったから。




「ねー、みんなでUNOしよ!」

「なんだ、UNOかよ……」

「え、なんか言った?」

「ううん!何でもないっす、ないッス!」



すごく安心しきった彼は大きく息を吐いていた。


よっぽど強ばっていたのかな?
鴇田くんって怖いものなさそうなのに、なんか意外かも。


そんなことを思っていると部屋中にテンポのいい音楽が鳴った。









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