届かないこの想いを、胸に秘めて。
「えっ」
そう聞き返したのは私じゃなく、和海ちゃん。
私は、理解してからショート寸前の位置に立って急いで頭を整理をしている。
こ、れから……来る?
……だれが?
て、キミが?!
まってよ。ウソだよね?
まさかここにキミが来るわけ──。
ドアがノックされた。
そして鴇田くんが迎えに行く。
その様子を目で追ってみると……っ。
「……ほんとに、来た」
和海ちゃんが小さな声で呟いた。
それに小さく頷いた。
ドア口に、この部屋に、キミがいる。
夢、なわけないよね?
だってキミの声がする。こんな近くで。
……どうしよう。いつも挨拶してたのに。できてたのに。
出来なくなってるっ。
それは緊張してるせいかもしれない。
同じ空間にいるキミは私の心をどんどん加速させる。
それと、安堵した。
キミは一人でいるということに。
そんな小さなことがとても嬉しく感じた。