届かないこの想いを、胸に秘めて。




長い廊下をゆっくり歩きだす。

深く息を吸って、吐く。


少し気分が軽くなった気がした。あそこでは十分に息ができなかったから。



緊張しすぎて。
だって無意識に息を止めてたんだもん。


そう気付いたのは、声を発する直前。



私ちゃんと普通でいられたかな?
変な顔してなかったかな……?



あ、その前にこの姿見られてる……。



うぁー。恥ずかしい。こんなちゃんとしてない姿見られちゃった。

子どもっぽいって思ったかな……?

平均より低い身長だから。
ルームウェアなんて、モコモコ生地でピンクと白のボーダーだし……。


こんな姿、もう完璧に子どもっぽいって思われたかもしれない。




思い返すとやっぱり恥ずかしくて、壁におでこをくっつけた。


……ひんやりしてて心地いい。




顔全体が熱くなっていることに今更ながら気付いた私は、今度は右頬を冷やそうと顔を左に向けた。








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