届かないこの想いを、胸に秘めて。
「長田さんは、何飲む?」
「えっ、いや自分で、」
「いいよ。もう入れちゃったし」
キミがそう言って私に笑いかけた。
私はキミと自販機までやってきた。
嘘をついて部屋を出てきたつもりなのに……。
熱を冷ましてる途中にキミに見つかってしまい、今に至っているのだけれど。
こうやってふたりきりでいることに、とても夢のようで、懐かしく感じた。
とても嬉しいし、何より恥ずかしい。
「……じゃ、これで」
そう言って指を指したのは、ミルクティー。
こんな夜に飲むのもどうかと思ったけど、甘さが欲しくなった。
キミがミルクティーのボタンを押して、下から取り出す。
「はい」
「ありがとう、ございます」
やっぱりキミには敬語を使ってしまって、そして声がつっかえるのもセットになってしまうみたい。
私を見てふわっと笑うキミは、やっぱりずるい。