届かないこの想いを、胸に秘めて。
あれ?なんか助けられたのかな……?
もしかして、香奈恵ちゃんはお見通しなの?
「ねー、雪菜」
理科室へ向かう途中、右隣にいる香奈恵ちゃんが私を呼んだ。
ドキリとしたけど、顔をかしげて続きを待つ。
「水族館行くのになんで顔真っ赤にしてたの?」
あ、やっぱ違った。
ホッとしつつ、話を合わせて答えた。
「だって、貸切なんだもん!ドキドキするから」
香奈恵ちゃんは私の頭をクシャっと撫でて笑った。
だから、私も笑い返す。
そうすると、左隣にいる和海ちゃんが割って入ってきて、
「あたしも仲間に入れろ〜!」と腰にどついてきた。
今日から卒業までこんな感じで過ごしていくんだと思うと、とてもワクワクする。
大好きな2人とずっと一緒に過ごせるから。
前で騒いでるふたりを眺めながらそう思った。
視界の隅にチラッとのぞかせた教室に目を向けると、笑っているキミがみえて胸が高まるのを感じた。