届かないこの想いを、胸に秘めて。
「UNO、楽しかったね」
2人で壁に寄りかかり、キミが先に口を開いた。
静かなフロアにキミの声が響く。とても穏やかな声。
いつ聞いてもその声に耳は反応して、キミを見つけて、何度も『好き』って思ってた。
首を縦に振ると、キミが笑ったような気がした。
私は手元にあるペットボトルを見つめてるから分からないけど、なんとなく。
「なんか、久しぶりだよね」
「えっ」
「こうやって、2人で話すの」
顔を向けると笑ったキミの目と重なった。
タレ目で澄んだ黒い瞳に、私が映ってる。
こんなに近くで、しかも目を合わせてることは初めてで、自分の中が異常に騒がしい。
逸らしたいんだけど、惹き込まれて逸らせない。
すると、キミから逸した。
「あ、ごめんなさいっ」
見すぎちゃった。
だから、逸らされたんだと解釈する。
上げていた目線はまたペットボトルへ。
そうだよ、キミと2人で話すのは久しぶりだよ。
あの日のことは忘れもしない。
私に、一歩進む勇気をくれたキミのぬくもりを。
とても星が綺麗だったことも。
小さなキミとの出来事は、私の中ではとても輝いていて大きな存在なんだから。