届かないこの想いを、胸に秘めて。
急に心臓が小さく飛び跳ねた。
目は大きく開けて、瞬きをする。
そして、全身の動きが止まった。
それはあの日と一緒だった。
キミのぬくもりが私に勇気を与えてくれた時と一緒。
私の頭には、キミの手が置かれているから。
でもそれは一度上で弾んだだけで、それからは温かさを感じない。
「……そろそろ戻ろっか」
壁から離れて伸びをして、それから私に振り向いてそう告げた。
コクリと頷いたものの、私の中では不思議なマークが埋め尽くされてる。
なんで頭を……?
どうして?
……どうして頭に手を?
考えてもよく分からない。どうしてそんなことをしたのか。
先生がいないことを確認しながら、キミは私を部屋の前まで送ってくれた。
その優しさが甘く胸にしみて、また想いを積んでいく。
お互いに別れを告げたあと、私が心配の声を小さく掛けると、少し進んだキミは振り向いて『ありがとう』と手を振ってくれた。
キミの姿が見えなくなるまで目に焼きつけてから、部屋に入るとそこには親友が待っているわけで。
少し微笑みつつ、半ば呆れながら、報告会を始め、
それは日の入りが始まる前まで続いたのだった。