届かないこの想いを、胸に秘めて。
ジャンケンの行方
進級して2週間。
桜はもう散っていて、地面にピンクの絨毯が道端に敷かれている。
その代わりに、青い葉が芽生え始めていた。
4月の真ん中なのに桜が散るのが早いなと思いながら、学校まで歩いて行った。
「せっちゃーん、おはよー!」
教室に入ると一番前の席から歩み寄ってくる和海ちゃん。
今日は腰まである黒くて綺麗な髪をサイドに結っていた。
「和海ちゃん、おはよう」
「せっちゃん、今日──」
和海ちゃんが言いかけた時、私の後ろのドアが勢い良く開けられた。