届かないこの想いを、胸に秘めて。
嬉しくて、悲しくて
12月の半ばに入ると更に寒さは増して、暖房をつけるようになった。
朝はベッドから出たくなくて、しばらく毛布に包まれている。
リビングへ向かうときは足の裏をつけたくなくて、つま先で立って行くほどだ。
この寒さなんて、北海道とかの北の国に住んでいる人と比べたら、大した寒さじゃないかもしれないけど。
着込んでも着込んでも、寒さっていうものは肌に突き刺さるから、冬は嫌いだなって毎年この時期が来ると思う。
通学路を歩き、最寄り駅へ。
改札を通って、いつもの時間に来る電車に乗った。
10分すると、よく知る風景がみえて、通学で経由する駅に下りた。
階段を下りながら、少しドキドキする。
「長田さん!」
改札を出ると前から私を呼ぶ鴇田くんがいた。
ちゃんと見えてるのに大きく手を振るからつい口元が緩む。
「鴇田くん、おはよう」
そう言うと彼も同じように返した。