届かないこの想いを、胸に秘めて。





鴇田くんって、やっぱり律儀な人だなと隣で喋ってる彼を見て思った。



まさか先に来てると思わなかった。

来るなら私より後だと、そう決めつけていたから。



うん、やっぱ外見で決めつけるのは良くないね。

自己反省して、鴇田くんの横顔に謝った。




いつもみんなを賑やかにさせて、とても頼もしい人柄とはまた違った内面を持っている鴇田くん。

そこが彼の人気を得ている部分なのかもしれない。




「てか、ごめんね?」

「え、……なにが?」

「いや、その。……一緒に登校してもらっちゃって」



鴇田くんは眉根を下げながら私をのぞき込んでくる。

ちょっとドキッとした。


でもキミの時とは違う高鳴り。



「ううん、大丈夫だよ?」

「……そっか。なんか友達と一緒に登校してる感じしてたから」

「いつもひとりだから。謝る必要はないよ」


彼を見上げて笑う。

その視線の先にはあの時の公園が見えた。






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