届かないこの想いを、胸に秘めて。





一旦周りを見た。

これから言う言葉を聞かれてしまわれないかを確認するために。



私の近くには5人いた。
とくに、私の隣の隣に座っているサラリーマンには聞こえてしまうんじゃないかと思った。



でもそれは不安から安堵へ変化した。

そう感じたのは耳にイヤホンをしていたから。


これなら聞こえないと思った。



だって言うっていっても、自分にしか分らない程度の大きさだから。




でもやっぱり緊張する。

直接伝えるわけじゃないのに、手に汗を持って、心臓がバクバクしだしている。




告白ってこんな感じなのかな?


すごいね。
それを乗り越えてきた人たちって、本当にすごい。

失恋したしないに限らず、この状況に足を踏み入れて立ってきた人たちが。



私にはとても羨ましい。
……怯まない心が、勇気がほしい。



もしキミに告げるとなると、私はこれ以上になってしまうんじゃないかな?
今の時点でこんなになっているのだから。



…………もう、心臓がこわれそう。







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