届かないこの想いを、胸に秘めて。






「やー、朝のはマジで参った」

「やるよね、香奈恵」

「みんな大爆笑だったね」


中央広場で昼食を取りながら、朝の出来事を思い出す私たち。


あの後、先生が来てもずっと香奈恵ちゃんの笑い声は治まらなくて。

逆に先生が自分のことで笑ってると勘違いして、騒がしいHRを迎えたの。


でも、その風景はとても絵になってて好きだなって思った。




あ、そういえば。


「和海ちゃん、朝何を言おうとしたの?」

大好きな玉子焼きを掴みながら聞いた。


「あ、それね。委員会どうする?って話をしようと思って……」

そう言いながら、チラッと香奈恵ちゃんを見た。


「ん?なあに」

口にいっぱい含んだまま私たちをみて香奈恵ちゃんが言う。


「あんな登場するから〜」

「え?なにもう一回言って!」

ボソボソと言った言葉は私には聞こえたけど、香奈恵ちゃんには届かなかったらしい。



私は笑った。

そうすると、彼女は歩み寄ってきて「分かんないけど、ごめんってばぁ」と泣きついてきた。








< 21 / 306 >

この作品をシェア

pagetop