届かないこの想いを、胸に秘めて。
「やー、朝のはマジで参った」
「やるよね、香奈恵」
「みんな大爆笑だったね」
中央広場で昼食を取りながら、朝の出来事を思い出す私たち。
あの後、先生が来てもずっと香奈恵ちゃんの笑い声は治まらなくて。
逆に先生が自分のことで笑ってると勘違いして、騒がしいHRを迎えたの。
でも、その風景はとても絵になってて好きだなって思った。
あ、そういえば。
「和海ちゃん、朝何を言おうとしたの?」
大好きな玉子焼きを掴みながら聞いた。
「あ、それね。委員会どうする?って話をしようと思って……」
そう言いながら、チラッと香奈恵ちゃんを見た。
「ん?なあに」
口にいっぱい含んだまま私たちをみて香奈恵ちゃんが言う。
「あんな登場するから〜」
「え?なにもう一回言って!」
ボソボソと言った言葉は私には聞こえたけど、香奈恵ちゃんには届かなかったらしい。
私は笑った。
そうすると、彼女は歩み寄ってきて「分かんないけど、ごめんってばぁ」と泣きついてきた。