届かないこの想いを、胸に秘めて。





「恋ってね、楽しいよ」

キミと同じように宙を見た。



そう恋は楽しい。

キミと出会ってから私の心はピンク色に一気に染まったんだよ。
キミの姿を、表情を、声を聞くと甘く心に響いた。


そして何より笑顔になってた。




「楽しくて嬉しくて、とても温かい気持ちになれるんだ」



今だってそうだよ。
キミがそばにいるだけで、とても嬉しいし、とても幸せだよ。


でも……。



「それ以上にね。苦しくなるの」


目線をキミに向けた。

小さく胸が跳ねたのはキミも私を見てたから。

私はそれを隠すみたいに笑いかけた。





……ちゃんと笑えてるかな?


遠い存在だったはずのキミは今じゃこんなにも近くにいるのに、伝えるチャンスはあったはずなのに、怖くて、前に進めない。



……臆病なんだ、私は。









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