届かないこの想いを、胸に秘めて。





……キミって本当にずるい。


なんでそんな目で私を見るの?なんで私をこんなに悲しくさせるの?

なんで、キミをこんなに好きにさせるの?




──神様はやっぱり意地悪だ。



また目に見えない存在に八つ当たりをする。

自業自得なのに。




「そうだよ。多分中村くんはその子に恋してるんだよ」


声が震えていないか心配になった。

でもその必要はなかったみたい。


だから安心した。


それと同時に熱く込み上げてくるものがあって、なんとか堪えてみせた。



ふと時計を見ると、電車が来るまであと5分だと知り、とても遅いと感じた。




さっきまで時間が止まればいいなんて思っていたのに、

今はもう独りの時間がほしいと願っている。



なんて勝手なんだろう。
そして、とても息苦しい。







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