届かないこの想いを、胸に秘めて。




家までどう帰ってきたのか分からない。


気が付くと自分の部屋にいて、ベッドに顔を沈めていた。




キミを想うとどんどん好きが積もって、零れそうになって、壊したくなる。


なんで私の恋はいつも儚いの?


でも今回のは特別な恋。
3度目の恋は、私にとって初めての恋だった。


これが〝本当の恋〟なんだ。
今までにない、苦しみと悲しみ。



こんなにもキミのこと強く想っているのにっ。


キミは、違う子を想っている。


これが現実なんだ……。

私がこんなに消極的で、臆病で、最低だから。


馬鹿でダメな私。





「ぅ……ふぇっ……」


真っ暗な部屋の中。私の苦しい嗚咽が響く。



キミと桃田さんはきっと両想い。

私とキミは、決して結ばれることはない。


この想いは決して届かないんだ。





「うぁっ……っく……」



……私はどうすればいいの?

この想いはどうすれば……っ。


もういっそ無かったことにしてしまいたいっ。




「……す、き……なのにっ……ぅ」



あんなに雲がかかっていた空は今や満月が覗いている。

その光が目にしみて更に涙を誘う。



暗闇の中ただただキミを想って泣き続けた。







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