届かないこの想いを、胸に秘めて。





「……よし!それなら安心!」

「へへへ、ありがとう」



頭を撫でる手に心地よく感じて、目を閉じた。




「冬休みも会おうね?」


そう言ってみると「当たり前じゃん!」と撫でていた手が頭をペシっと叩く。

それから顔を見合わせて笑った。





「和海」


そう呼んだのは番くん。


和海ちゃんの肩越しから壁に寄りかかっている彼がみえた。


振り向こうともしない和海ちゃんに「呼んでるよ?」と言うと、さっきとは打って変わってムスッとした表情で「……うん」と一言。




まったく、なんて顔してるんだか。
もう、仲直りは目前なんでしょう?


可愛い顔が、もっと可愛くなってますよー?




なんて言えるわけがないので、和海ちゃんをみて微笑した。




パタパタと番くんの元へ行った和海ちゃんは、私とまだ突っ伏している香奈恵ちゃんに「またね!」と手を振って帰っていった。





残された教室には私と香奈恵ちゃんだけ。



スクバを肩にかけて、香奈恵ちゃんの元へ迎えにいく。




「香奈恵ちゃん」

「……なあに」

「帰ろ?」

「……んー」



そう言ったまま目を閉じてしまった。

また夜更かしでもしたのかな?
見るからに眠そうだもん。



……いっか。時間はまだあるし。
少しの間寝かせてあげよう。







< 220 / 306 >

この作品をシェア

pagetop