届かないこの想いを、胸に秘めて。
「……よし!それなら安心!」
「へへへ、ありがとう」
頭を撫でる手に心地よく感じて、目を閉じた。
「冬休みも会おうね?」
そう言ってみると「当たり前じゃん!」と撫でていた手が頭をペシっと叩く。
それから顔を見合わせて笑った。
「和海」
そう呼んだのは番くん。
和海ちゃんの肩越しから壁に寄りかかっている彼がみえた。
振り向こうともしない和海ちゃんに「呼んでるよ?」と言うと、さっきとは打って変わってムスッとした表情で「……うん」と一言。
まったく、なんて顔してるんだか。
もう、仲直りは目前なんでしょう?
可愛い顔が、もっと可愛くなってますよー?
なんて言えるわけがないので、和海ちゃんをみて微笑した。
パタパタと番くんの元へ行った和海ちゃんは、私とまだ突っ伏している香奈恵ちゃんに「またね!」と手を振って帰っていった。
残された教室には私と香奈恵ちゃんだけ。
スクバを肩にかけて、香奈恵ちゃんの元へ迎えにいく。
「香奈恵ちゃん」
「……なあに」
「帰ろ?」
「……んー」
そう言ったまま目を閉じてしまった。
また夜更かしでもしたのかな?
見るからに眠そうだもん。
……いっか。時間はまだあるし。
少しの間寝かせてあげよう。