届かないこの想いを、胸に秘めて。





特にすることもないので、図書室へ行くことにした。

香奈恵ちゃんには悪いけど、ちょっと寝て待っててね?


静かな寝息をたてている彼女にそう告げて教室を出た。




3階から1階へ。その長い道のりを一人で歩く。




図書室なんていつぶりだろう。
入学してから3度目くらい?


課題のための資料を探しに行ったぐらいだから、また違った気持ちで少しソワソワする。




本を読むことは割と好き。

特に友情モノは私には涙のどストライクで。
死んじゃうストーリも涙を誘う。


本の世界は夢がたくさん詰まっているから、惹き込まれてしまって。
だから余計共感して泣いてしまうんだ。



たまにね。自分の恋を小説にしたら結構いい感じになるんじゃないかなって思うんだよね。



……切ないから。


そんな理由で重ねてしまっては罰が当たると思うんだけど。


でも、本の世界にはハッピーエンドがあるでしょ?
だから私の恋も辛さのない幸せな終わり方にしたいなって。



そしたらこんなに泣かなくて済むと思うから。






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