届かないこの想いを、胸に秘めて。





図書室は廊下と違ってお家にいるみたく暖かかった。


中を一周してみることにして、小説から雑誌、哲学、漫画などの幅広いジャンルが置かれてあることにびっくりした。


十分暖まったところで元いた場所へ。




なんとなくさっき来た道のりじゃなく、違う道のりを選択して階段を一段一段上っていくことにした。




もうそろそろ起きてるかな?
こんど3人で図書室行ってみようかな。



キミも利用していたりするのかな?





そんなことを思いながらちょうど2階の一段目に足を踏み入れた時、かすかに聞こえた二つの声に動きを止めた。



階段に小さく響いている声は女の子と男の子のものだと思う。

けどこの時点では誰なのか検討もつかない。


少しずつ前へ進んでいく。

それとともに声が近くなってきた。





「……すけ、……の……」

「……き、……んと……」





──ドクン。


嫌な音が大きく響いた。




声の主は、キミと桃田さんだったから。



完全に動きが止まった私は、2人には見えない位置のところに隠れた。


とはいっても、二人がいる踊り場から数段下行ったところの階段の壁。


ふたりがそのまま降りてくれば完全に見つかってしまう位置に、私は身動きが取れない状態で張り付いているんだ。




ここから立ち去るべきなのに体が言う事を聞いてくれない。


そのまま静かに耳を傾けた。


けど、自分の音とふたりの声が重なって上手く聞き取れなかった。






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