届かないこの想いを、胸に秘めて。

──もう諦めろ。苦しいのなら。




そんな声が聞こえた気がした。

とても厳しい言い方。
……意地悪な神様だ。



もっと優しくできないのかな？



目に見えない存在にそう語りかける。心で語った声も涙声だった。




もう潮時なのかな……。

2人はもう恋人同士になったんだ。


……だからもう、キミを想う必要なんてない。終わったんだ。私の恋は。



中途半端じゃない。完全に終わったんだ。


はは。終わったんだ……。




「せつな？」

「……もう、いいや」


顔をのぞき込む香奈恵ちゃんに私は言った。

笑えてるかな？

もうどんな表情をしているのか分からない。
でも口角は上げさせる。




「もう、諦める。……もう中村、くんを想わない」

「…………」

「香奈恵ちゃん、そんな顔しないで、笑ってよ」

「っ……ばか、なんじゃないの。…………笑えない」


苦しそうに顔を歪ませる香奈恵ちゃんに私はもう一度笑ってみせた。

最後の涙が目尻を伝う。




もう、キミにさよならをしよう。

本当はキミに伝えて終われればよかったんだけどな。


最後に『好き』って伝えたかったな。


そう後悔が押し寄せた。