届かないこの想いを、胸に秘めて。
改めてすごい量だなと関心しつつ、自分が書いた〝好き〟の文字を見た。
なぜかそこだけが特別光っているようにみえた。
……最後の想いだからかな?
それは私の恋を物語っているように思えた。
少し傾いた歪な文字が。
これでもう終わるんだ。キミを想うのは。
明日からはもうこの感情とはさよならなんだと思うと、ホッとして切なくなった。
「なにしてんの?」
──え。
聞こえるはずのない声に耳を疑った。
その声の方へゆっくりと振り向いた。
──っ!
ウソ。なんで……なんで、いるの?
そこには開けられているドアから黒板を見てるキミがいた。
「おー、中村じゃん」
香奈恵ちゃんがそう言うと、キミは手をあげて中に入ってきた。
私の横にキミが止まる。
そして黒板に書かれたたくさんの文字に目を向けた。
次第に全身が火照ってきた。
そしてかすかに、ドキドキと胸が高鳴った。