届かないこの想いを、胸に秘めて。
「これ、どうしたの」
「ん?見ての通りだよ」
「いや、それは分かるけど」
香奈恵ちゃんとキミのやり取りに耳を傾けて、クスッと笑ったキミは「すごいね」と私を見た。
大きくドキンと跳ねた。
鼓動がテンポよく鳴る。
「なんで〝好き〟って書いてあるの?」
そうキミが指を置いた〝好き〟は私が書いたところだった。
そしてまた大きく跳ねる。
キミがそこに置いた指に意味なんてない。
分かってるはずなのに。
視界がぼやけるのを感じて、俯いた。
……あぁ、本当に終わってしまったんだ。
中村くん。
この文字はね、キミを想って書いたんだよ?
キミにはもう届かないから。言えないから。
最後に会いたいと願って書いた私の本当の想い。
香奈恵ちゃん。やっぱりこのジンクスは当たるんじゃないかな?
だってほら、私にとって最後のキセキが起こったんだもん。
この想いを最後にキミに会えたことが私にとって『いい事』なんだと思った。