届かないこの想いを、胸に秘めて。
「……長田、さん?」
っ、やばい!
のぞき込んできそうなキミに私はとっさに顔を背けた。
……悪いことしちゃったかな。感じ悪い。
キミに罪悪感を抱くけど、それでよかったと思った。
こんな顔見られたら不思議がられるし、心配させてしまうと思うから。
それに諦めたって自分に言い聞かせるため。
そうでもしないと、いろいろと耐えられなくなっちゃいそうだから。
「なに、そんなに気になるの?」
「……へ?……あ、いや、別に」
「これはね、ただの遊びだよ」
香奈恵ちゃんがそう言って一つひとつ文字を消していく。
「どれくらいこの文字が書けるか競争してたんだよ」
ね?と私に微笑んだ香奈恵ちゃん。それに合わせて頷いた。
私のためにウソをついたんだ。
苦しくなりだした心が一気に救われた。
「そうだったんだ」
「うん。そう!」
最後の文字をサッと消してから、なんでもないような普通な顔をして言うと、私をみて笑った。
その目は『大成功』とでも言っているように思えた。