届かないこの想いを、胸に秘めて。
「へー。そうだったんだ!」
「そうだったんだよ〜この子」
「…………うん」
香奈恵ちゃんを睨む。
最低!こんなんで騙されるなんて!!
ビックリしたじゃん!もうこの世の終わりかと思ったし。
香奈恵ちゃんがあんな表情するから……っ。
「そっかー!長田さんMーーa。好きなんだ」
「う、うん」
早とちりした自分が恥ずかしくて顔が上げられない。
キミは嬉しそうに笑っているのだろう。
声が弾んでいるから、見なくても分かるんだ。
「なんか嬉しいな」
見上げたときそう言われて思わずキュンとした。
……ね、油断できない。これだから。
キミはこうやって私の気持ちを知らないから。
ほんとにキミはずるいよ……。
「これで仲間、増えたんじゃん?」
「だね。ライブとか行ってみたいな」
「え!行きたい行きたい!」
香奈恵ちゃんが大きく手をあげてジャンプする。
「中村、チケットよろしく!」
「ちょ、それマジで言ってんの!?」
「うん、マジ」
「嘘だろー。……長田さん違うよね?!」
急に振り返ったキミにまたドキンと胸が跳ねた。
助けを求める目にかわいいと思いつつ、それを呑みこんで笑う。
「私からも、よろしくお願いしますっ」
香奈恵ちゃんにノっかって頭を下げた。