届かないこの想いを、胸に秘めて。
ごめんね、中村くん。
こうでもしないと、溢れてきそうだから。
それを堪えるために歯を食いしばる。
「長田さんまでかー。参ったな〜」
「ククク、そーゆー事だから。チケットよろしく〜」
「分かったよ。考えとく」
そう言ってキミとは昇降口で別れた。
私たちはお手洗いに行くと言って。
香奈恵ちゃんは今回、2度目のウソをついた。
これも私を思っての言動だろう。
最後にちゃんと笑えてたかな?
……笑えてたよね、きっと。
キミの背中がだんだんとぼやけはじめた。
──さよなら、中村くん。
──さよなら、3度目の恋。
キミに恋をした全ての感情は、私の特別でした。
ありがとう。中村くん。
目尻からこぼれ落ちる。たくさんの想いが詰まった雫が。
完全にキミが見えなくなると、私は堰を切ったように熱く冷たい涙が頬を濡らしていった。
さようなら、私の初恋。
出会ってからずっと、
キミが大好きでした──。