届かないこの想いを、胸に秘めて。



お昼からは神社へ。


まず最初に神様に挨拶をした。



神様には、たくさん謝ってたくさん感謝を告げた。


たくさん悪態ついちゃったからね、何も悪くない神様に。



まぁ、苦しみを与え過ぎだと思ったから、私以外の人たちには与え過ぎないようにとお願いをして、

自分自身には、平穏に過ごせるように、とお願いをした。




ただそれだけ。ほかは何も願わなかった。

そこが、去年とは違う願い事。





「ねー、何お願いした?」

「それ言ったら叶わないから、言いませーん」

「私も言わなーい」

「なんだよ、ケチ!私は言っちゃうから」


ムキになった香奈恵ちゃんはサラッと言った。


『これからも仲良く2人といれますように』と。



和海ちゃんと私で顔を合わせて、それからドヤ顔を向けている香奈恵ちゃんをみて笑った。



「え、なんで笑う!?」

「プふふっ……だってー」



香奈恵ちゃんはギョッとして私たちを見る。
その様子をみてまた笑った。


私たちを思って願ったことに笑うってとても酷いと思う。

でも当たり前すぎて、自分より私たちのことを願ったのが、なんか香奈恵ちゃんらしくて、かっこいいなと思ってしまった。




「だって……っそんなの願わなくても、」

「当たり前のことじゃん!」



相変わらず笑いのツボが浅い和海ちゃんは言葉が途切れたのをみて、言葉を繋げた。




「……あぁ!そっか!」



うわぁ、もったいないことしたわ〜、と空を仰いで彼女も一緒に笑いだした。







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