届かないこの想いを、胸に秘めて。



おみくじコーナーにやって来ると、香奈恵ちゃんを見つけて近寄った。


なぜか私たちを見て笑ってる。



機嫌直るの早いなと関心したのも束の間で、差し出された手を見た。




「はい、引いといた〜!」


上機嫌な香奈恵ちゃんの声を聞きながらそれを取る。

和海ちゃんも一緒に取った。



「せーの!で開くからね♪……せーのっ!」


弾んだ声に合わせて小さな筒から丸まった紙を取り出した。




やっ、た!大吉!

嬉しくてつい手に力が入った。



「おー!やったあ!大・吉~♪」

「ほんとだ!私と一緒だ!」


和海ちゃんに寄り添ってお互い見せ合ってその場で小さく跳ねる。



「嬉しいね、大吉って!で、香奈恵、は……」


にこやかに浮かべた和海ちゃんの顔は、真顔に近い表情へと変わった。

私も同じ顔になっていく。



だって、潤んだ目をして私たちを見てたから。
それはなにを言っているのかよく分かった。




「な゙ん゙でぇーーー」

「……バチが当たったんだよ、うん。ドンマイ」

「な゙ん゙で私だけぇーー」



そう言って号泣しだす香奈恵ちゃん。
とはいっても心が泣き叫んでいる感じで。


そっと差し出された香奈恵ちゃんのおみくじ。
見ると……。




【凶】



と一番上にやや大きめにあった。



「……はじめてみたかも」

「あらー、凶ですかー」

「凶って、言うなあ!」



可哀想に思えて頭を撫でてあげた。

悲しいとき香奈恵ちゃんはいつもこうしてくれたから。

て、状況が違うね。



悲しく声をあげる香奈恵ちゃんに和海ちゃんが光の声を言ってあげると、

一気に表情が明るくなって急いで木へ向かって走っていった。








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