届かないこの想いを、胸に秘めて。





「ふっ、香奈恵って単純だね」

「そうだね。好きだな〜」

「同じく〜……って私は?」

「大好き!」


木に結ぶ姿をみながら2人で笑いあった。



こうやって普通に言えるのに、どうして言えないのだろう。

心の中ではいくらでも言えるようになれたのに。



て、また考えてる……。
もう終わったはずなんだけどな。


キミの存在は大きくて心の箱には完全にしまえられていないみたい。


だからたまに、思い出しては、どうしてるのかな?って……。




「結んできたー!和海のおかげ!あざっす」


その声に我に返る。
そしてまたフタをした。



彼女たちと別れて、寒い空気に包まれながら家に帰宅する。


ベッドに倒れ込みおみくじ広げて掲げる。

恋愛運をなんとなく見た。




【恋愛:その人は近くにいるでしょう。時が来れば叶います】




……。…………。

来るって、昨年も同じこと書いてあった気がする。

思いっきり信じた。けど違った。



だからもう信じないと、恋愛運だけにそう思うことに決めたんだ。



丁寧にしまって机の引き出しの中へ。
もう身に持っていても意味ないから。


そして、想いを閉じ込めた。








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