届かないこの想いを、胸に秘めて。
「そこ、邪魔!……おはよ!雪菜」
「ってぇ〜……西本なにすんだよっ」
腰を押さえながらよろめく鴇田くん。
その様子に目もくれず香奈恵ちゃんは私をみて笑う。
……びっくりしたー。大丈夫かな?
「俺いま長田さんと話してる最中だったんだけど!」
「は?そんなの私には関係ないし。そもそも私の雪菜に話しかけんな!」
「うっわーナニソレ。西本引くわー」
「どーぞどーぞ、引いて構わん」
白い目を向ける鴇田くんに、香奈恵ちゃんはフンと鼻をならして舌を出す。
もう笑いこらえるのも限界で私は吹き出した。
このふたりの絡みは漫才を見ているみたいで、飽きないんだよね。
朝っぱらからお腹痛いや。
そして2人も笑うから、ここだけが賑やかになった。
和海ちゃんはHRが始まるギリギリに来て、手だけを振って席に着いた。
今日は何も授業ないから、すぐ帰れると思うと嬉しくなった。