届かないこの想いを、胸に秘めて。




教室はとても暖かかった。



私より早く来たクラスメイトがつけてくれたことに感謝しつつ、一目散にストーブの前へ。



あぁ、幸せ……。


冷えた体がだんだん解けていくのを感じて、今度は制服を乾かすように体を少し前に寄せた。



注意を払ったそばから、ツルっと。

あのコケ方は、さすがに恥ずかしかったっ。


誰もいない道中で一人顔を赤くさせたのは言うまでもない。





HRの10分前にはみんないて、やっぱり香奈恵ちゃんは一人はしゃいでいた。



来た時なんて両手に雪を握っていてね、それを、私と喋っていた鴇田くんの頭目がけて……。


うん、それはもう痛そうだったよ。こればかりは鴇田くんが可哀想にみえた。




目の前で繰り広げられている2人の言い合いを耳に、窓の下を見た。



丁度キミが昇降口に向かっているところだった。



今日も笑顔のキミの隣には桃田さんがいて、一緒に笑いあってる。


少し苦しくなるけど、キミが笑っているだけで私も笑えているから、もう突っ走るしかないんだなと思った。






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