届かないこの想いを、胸に秘めて。





帰り道はひとりで。


あの後、鴇田くんが私も何か言い出そうとしていたと思い出したみたいで、促されたけど、私は首を横に振った。


私も同じことを言おうとしてたから。


『友達』と言った時田くんの声が頭に残る。
とても嬉しかった。




それからは鴇田くんが『俺ちょっとここを堪能したいから、先帰っていいよ』と言われて、今に至る。



今頃、鴇田くんは……。





ふと視界に入った小さな公園。
学校と駅を繋ぐ道中にポツンと置いてある、人気の少ない公園。




『長田さんのこと、好きなんだ』


そこは鴇田くんに告白をされた場所で。




『ずっと長田さんを見てたから、すぐ分かったよ』


そう言って優しく笑いかけて、
私の気持ちを知ってても、優しく頭を撫でてくれた鴇田くん。





『……俺のこと、少しでも考えてくれたら、嬉しいな』


そう告げた彼の悲しげに笑う表情。
それから、頭をかいて照れる姿。




思い巡ると、喉が苦しくなってきて口元を覆った。




やっぱり悲しい。悲しかった。

振られるのが怖いと思っていたけど、それよりも振るのがこんなにも悲しいだなんて、思いもしなかった。



涙がポロポロと地面に落ちていく。


行き交う小学生に好奇な目を向けられるけど、それにも構わず泣きながら、声を漏らしながら、家へと向かって行った。







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