届かないこの想いを、胸に秘めて。
ホンネ





「……ん」


明るい光に目を細めて朝が来たのだと知り、のそりと体を起こして時計をボーッと確認した。




「え゙!?」



一気に頭が覚めた。

目覚まし時計とスマホの時計を交互に見る。何度も確認する。



時計はいつも電車を乗る時間を指していた。


ヤバいっ!ち、遅刻!遅刻する!!





「もーっお母さん!なんで起こしてくんなかったのー!」



当たり障りのない八つ当たりを空に放ち、急いで着替えてリビングへ。




「お母さん!」

「あら、おはよー!遅刻するわよ~」

「知ってるよっ、なんで起こしてくんなかったの〜」



そう言いながらお味噌汁をお腹に含んで、お弁当をスクバの中に突っ込んで、玄関へ向かった。


全くー。……あ!そうだ!




「お母さーん!学校まで送ってくださいっ」



この通り!と両手を合わせてお母さんにアピールをすると、「しょうがないわね!」と笑って、ともに玄関を出た。







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