届かないこの想いを、胸に秘めて。





「ありがとう!行ってきます!」

そうお母さんに告げて車を降りて教室に駆けていく。



なんとか間に合いそう!
校門にある時計を見てそう思った。



あと5分でHRが始まるから久しぶりの近道を選んだ。

そこへ向って走る。





──ツン。




「ぅわ…………ったぁ……」




…………また、転んだ。最悪。

なんで何も無いところで転ぶの!?



ところどころに痛みを感じて、ゆっくり体を起こした。




「ハハ、……これはハデに転んじゃったな〜」



膝小僧が赤く滲んでいるのを見て、ポツっと声を漏らす。




ふと思い出して笑った。

なんか、あの時と一緒だと思ってしまったから。


……懐かしいな。



なんか不思議。少しタイムスリップしたみたいに思える。



ここでキミと出会って、恋をしたんだよ。私。






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