届かないこの想いを、胸に秘めて。





「長田、さん?!」

「えっ」


その声に振り向くとなぜかキミがいた。



あれ?なんでいるの?

まさか本当にタイムスリップ……なんてことはないよね?



まるで恋をした日を再現してるように、キミが現れたから。




心配そうな顔で近付いてくるキミがもう一度尋ねた。



「う、ん。だいじょうぶ、です」



そう言った声は震えた。



……私、最高にドキドキしてる。


自分の中で大きく響く。もうキミにも聞こえちゃいそうなほど。

周りが静かだから余計大きくて、さらに加速していく。



……こんなんで、私ちゃんと伝えられるのかな?



小さな不安を抱き、今度は私がもう一度答えた。

震えずハッキリと声に出して『大丈夫です!』と。



「そっか。よかった……ってどこいくの!?」

「え、教室に……っ!?」



びっくりしてキミの顔を見た。そして、目線は下へ。


掴まれた手首が熱くなる。次第に顔も熱くなってきた。


反応に困っているとキミはあの時と同じことを言った。







< 267 / 306 >

この作品をシェア

pagetop