届かないこの想いを、胸に秘めて。





「行ってきます!」


明るい声とともに外へと出て、甘い香りに包まれた住宅街を歩く。



ちゃんと持ったし大丈夫!
スクバの中にある水色の手紙を確認して小さく微笑む。


歩きながら何度も繰り返す。『大丈夫大丈夫』と。



そうしないと自分の心臓がもたないから。




目覚めた時から緊張が止まらなくて、歯磨きを2回も磨いてしまった。

ご飯はなんとか食べきったものの、いまものすごく気持ち悪い。
吐かないけど。



でも徐々に賑やかになる駅付近は甘い香りが増して、胃がぐるぐるし始めた。



もう早く学校に着きたい!と初めて思った。




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