届かないこの想いを、胸に秘めて。
女の子が中から出てきたのを目にして、心が余計痛くなった。
泣いていたから。
あぁ、私も泣いちゃうのかな。笑ってさよならをしたいんだけどな。
無理なのかな……。
ポケットから手紙を出して胸に押さえつける。
──がんばれ、私!
この高い壁を乗り越えて、キミに最高の笑顔を見せよう。さよならは笑顔で。
頼みますよ、手紙さん。
その手紙をそっと後ろに隠して、机に伏せているキミの元へ歩んで行く。
上履きが床を蹴った微かな音に反応したキミと目が合った。
「あ、れ……長田さん、なんでここに?」
「こ、こんにちは」
うっ、出だし失敗してしまった……。
キミは目を点にさせて見てくるから、ドキドキが最高潮に達しそうで。
一度逸らして、また見た。
タレ目なキミはいまとても可愛い顔をしている。
それをいつもみんなに魅せているけど、今だけは私だけに魅せているのだと思うと、嬉しくなった。
後ろに隠してあった水色の手紙を前へ。
それに注目したキミが口を開くところを私が遮って言った。
「ここで、聞いててくださいっ」
キミの顔を一目見て、手紙を開けて3枚の便箋を手に取った。
深く呼吸をしてから、口を開いた。